事務所の配線やり直し費用|レイアウト変更時の相場と工程

事務所のレイアウト変更(部署移動・人員拡張・縮小・リモートハイブリッド対応)に伴う配線やり直しは、オフィス改修工事の中で最も頻度が高く、コスト・工期で悩みやすい工事です。特に「電源・LAN・電話・防犯・空調制御」を同時に動かす場合、業者を1つひとつ別発注すると工程の食い違い・追加費・営業停止リスクが発生します。
本記事では、事務所の配線やり直し費用を面積別・配線種別で整理し、OAフロアの活用、電源・LAN・電話・センサー類の同時施工パターン、業者選びと工程管理のポイント、レイアウト変更を最小コストで実現する設計手法を、施設管理者・総務担当者向けに解説します。
配線やり直しが必要になる主なケース
オフィスで配線改修が必要になる代表的なケースです。
| ケース | 改修範囲 |
|---|---|
| 部署再配置・大規模レイアウト変更 | 全面(電源・LAN・電話) |
| 人員増加・席数拡張 | 該当エリアの増設 |
| リモート対応化(席数削減) | 一部撤去・統合 |
| WEB会議室・集中ブースの新設 | 該当エリア新設 |
| OAフロア導入・床下配線化 | 全面更新 |
| 電気容量不足によるやり直し | 分電盤連動 |
レイアウト変更を機にOAフロア化する場合、初期投資は大きいものの、その後の改修コストが大幅に下がるため、長期視点で経済合理的です。
面積別の配線やり直し費用相場
事務所全体の配線やり直し(電源 + LAN + 電話)の費用相場です。
| 面積 | 席数 | 標準工事費 |
|---|---|---|
| 50m²(10席) | 10〜15席 | 30万〜70万円 |
| 100m²(25席) | 20〜30席 | 60万〜140万円 |
| 200m²(50席) | 40〜60席 | 120万〜280万円 |
| 300m²(75席) | 60〜90席 | 180万〜420万円 |
| 500m²(125席) | 100〜150席 | 300万〜700万円 |
| 1,000m²(250席) | 200〜300席 | 600万〜1,400万円 |
上記は内装変更を伴わない、配線のみの相場。OAフロア新設・天井改修と組み合わせると総額が2〜3倍になります。
内訳の標準パターン(200m²オフィスの例)
| 項目 | 費用相場 |
|---|---|
| 電源回路の新設・撤去(10〜20回路分) | 30万〜80万円 |
| LAN配線(CAT6・各席) | 25万〜70万円 |
| 電話配線・PBX対応 | 15万〜35万円 |
| 床下配線処理(OAフロア前提) | 10万〜30万円 |
| 配線管・モール類 | 10万〜25万円 |
| 既設撤去・養生 | 10万〜20万円 |
| 設計・施工管理 | 10万〜30万円 |
配線種別ごとの単価
配線種別ごとに単価感を把握しておくと、業者見積の妥当性判断がしやすくなります。
| 配線 | 1mあたり単価(材工) | 備考 |
|---|---|---|
| 電源(VVF 1.6mm) | 800〜1,500円 | 一般的なコンセント回路 |
| 電源(VVF 2.0mm) | 1,200〜2,200円 | 大電力機器向け |
| LAN(CAT6) | 600〜1,200円 | 1Gbps対応 |
| LAN(CAT6A) | 900〜1,800円 | 10Gbps対応 |
| LAN(光ファイバー) | 1,500〜3,500円 | 拠点間高速通信 |
| 電話線 | 400〜800円 | 既存PBX接続 |
| 監視カメラ用同軸 | 800〜1,500円 | 旧型カメラ用 |
距離が長くなる配線は単価が大きく効くため、配線距離を短縮するレイアウト設計が初期費削減に直結します。
OAフロア(フリーアクセスフロア)の活用
OAフロア(床下40〜60mmの空間に配線を通す方式)を導入すると、レイアウト変更の柔軟性が大幅に上がります。
OAフロアのメリット・デメリット
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 柔軟性 | レイアウト変更が容易 | 初期投資が必要 |
| 追加コスト | 改修時の費用1/2〜1/3に圧縮 | 新設時に1m²あたり1.5万〜3万円 |
| 足元配線 | モール不要・見た目スッキリ | 床高が4〜6cm上がる |
| 保守性 | 配線アクセスが容易 | 床下清掃が必要 |
100m²のオフィスでOAフロア化すると初期投資150〜300万円ですが、その後3〜5年ごとのレイアウト変更時に各回50〜100万円のコスト削減効果があります。長期テナントには経済合理的です。
同時施工で経費を抑えるパターン
電源・LAN・電話・空調・センサー類を別業者に発注すると、工事の重複作業・工期遅延が発生します。同時施工で削減できる主なパターン。
| 統合パターン | 削減率 | 注意点 |
|---|---|---|
| 電源 + LAN 同時施工 | 15〜25% | 配線管・配管を共用 |
| 電源 + LAN + 電話 + 空調連動 | 20〜35% | 電気工事業者と通信工事業者の連携 |
| 全配線 + 防犯カメラ + 火災報知器 | 25〜40% | 大規模改修時 |
| 配線 + 内装(壁・天井・床) | 30〜45% | リノベーション時の最適パターン |
「電気工事業者 + 内装工事会社 + 通信業者」を施工管理する元請業者を立てると、工程調整がスムーズになります。
業者選びの3つのポイント
配線やり直しは、設計力・施工管理力・コスト管理力の3軸で業者を見極めます。
ポイント1:図面ベースの設計提案ができる
「図面を見せていただければ電源・LAN含めて配置設計します」と即答できる業者は経験豊富です。「現場で適当に引きます」というスタンスは、後で配線距離不足や容量不足が発覚するリスクが高いです。
ポイント2:複数工種の同時施工対応
「電源・LAN・電話 + 空調連動」を1業者で一括施工できるか。元請として責任を持って工程管理してくれる業者は、レイアウト変更後の問題対応も迅速です。
ポイント3:見積の内訳が距離単価で示される
「配線一式 〇〇円」ではなく、「配線 〇m × 単価」が明示されている見積。これがあると、レイアウトの変更で増減する費用感を発注者側でも判断できます。
詳細は電気工事の見積書の内訳|項目別の見方と妥当性チェック・コンセント増設の費用相場も参照してください。
大規模なレイアウト変更は1社見積では割高になりがちです。電気・空調 見積り.com で複数業者から見積を取得し、配線種別ごとの単価・同時施工のディスカウントを比較するのが鉄則です。
工事スケジュールと営業への影響
オフィス配線やり直しは、営業時間外(夜間・休日)施工がほぼ必須です。
| 規模 | 工期 | 必要な営業停止 |
|---|---|---|
| 50m²(部分的) | 2〜3日 | 1日 |
| 100m²(部分的) | 5〜7日 | 半日〜1日 |
| 200m²(全面) | 10〜15日 | 3〜5日 |
| 500m²(全面) | 3〜4週間 | 1週間以上 |
営業を止めずに進める場合は、夜間・週末施工を組み合わせて2〜4倍の工期が必要になります。営業停止損害との比較で「いっそ1週間休んで一気に終わらせる」方が安い場合もあるため、工程設計を柔軟に検討します。
まとめ
事務所の配線やり直しは、200m²オフィスで120〜280万円、500m²で300〜700万円が標準。電源・LAN・電話の同時施工で15〜35%のコスト削減が可能で、内装工事まで含めると最大45%まで圧縮できるケースもあります。OAフロア化は初期投資が必要ですが、3〜5年ごとのレイアウト変更コストを大幅に下げる効果があり、長期テナントには経済合理的。発注時は図面ベース設計・複数工種同時施工・距離単価明示の3点を業者選定の軸にしてください。
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